テクノロジー

TECHNOLOGY

ゴルファーにとって最も近い部分に正確な弾道を生むための秘密があった。
グリップの可能性をどこまでも追求します。

見過ごされてきた課題に取り組む…
そこからすべてが始まりました。

トルク

ゴルフクラブを構成するのはヘッド、シャフト、グリップの三大部品。

より正確で安定した弾道と飛距離は、これらの全てのパーツが調和し、お互いにそれぞれの役割を100%果たすことができる状態において実現します。

ただ、ヘッドやシャフトに対してはこだわりを持って、クラブを選ぶプレーヤーたちも、グリップ選びにはそれほど注意を傾けない場合が少なくありません。

メーカーにおける開発姿勢もまた然りで、ヘッドやシャフトの開発ウェイトと比較すると、グリップのそれは約1~1.5%程度にとどまっており、開発予算も同程度に抑えられていたのが実情です。

わたしたちイオミックは、ショット時に発生するグリップのトルク(ねじれ)に大きな関心を持ちました。トルクとは物体の『ねじれ』を表す数値であり、この数値が高ければ高いほど、ねじれの度合いが高くなります。

シャフトにはトルクがあり、それがボールの方向性や捕まり具合、上がりやすさに大きく影響することは、従来からゴルファーや開発者たちにも知られていましたが、これまでグリップのトルクに着目したメーカーはありませんでした。

その度合いが一体、実際の弾道にどれくらい影響するのか?・・・これを明確に数値化しグリップ開発に反映すれば、より正確な弾道の実現に寄与できるのではないか?

これまで業界が見過ごしてきたこの課題に、イオミックは正面から取り組みました。

決め手は新素材の採用と、入念な実験調査。

エラストマー(樹脂)

研究の過程でわかったのは、従来グリップの素材として標準的に用いられてきたラバーでは、トルクの問題をカバーするにも限界がある、ということです。
そこでわたしたちが着目したのが、エラストマー(樹脂)です。

ただ、確かに樹脂はラバーを上回るトルクの抑制効果を持っていましたが、わたしたちが目指す機能品質を実現するには、現存する樹脂素材では理想の効果を期待できないことがわかりました。そこでわたしたちは、プラスチック素材メーカーとの共同開発により、新たな素材の開発に着手。

そして生まれたのが、ゴルフグリップのために開発された新素材、『IOMAX』です。
これまで、業界でもコンマ以下数mmのグリップトルクがプレーにもたらす影響に対して詳細な調査が行われたことはなかったため、わたしたちはそれを測定するための専用機器も独自開発しました。

そうして自社開発した『グリップトルク測定器』における実験では、イオミックのIOMAX製グリップと他社のラバー製グリップをそれぞれ装着したステンレス棒を用意。これらを器具に固定し、ショット時のインパクトとなる人工的な加重をかけることで、そこに表れるトルク数値の違いを測定しました。

結果、他社のラバー製グリップで生じるグリップトルクはおよそ0.4~0.7mmであるのに対して、イオミック製品は0.2mm〜0.3mmにとどまることが判明。

これらのトルクを、インパクト時にクラブフェースが右に開いて生じたものであると仮定すると、250yd先でプッシュアウトする距離は他社製品では14.9yd、それに対してイオミック製品は8.9ydにとどまるという計算になります。

わずか0.5 mm以内のグリップトルクが、実際のグリーンでは6ydもの違いを生むのです。

もちろんこれは計算上の予測ですので、実際のスウィングではボールにサイドスピンが加わり、右へのプッシュアウトはさらに大きくなります。

もちろん、わたしたちはその事を踏まえ、動的データの収集にも取り組みました。

オフセンターヒット時に表れた、13ydの違い。

グリップトルク測定器

実験には、プレーヤーのスウィングを正確に再現するスウィングロボットと、超高速度カメラを使用しました。
同一ヘッド・シャフトに装着された他社製グリップとイオミック製品を、まったく同じ状況下でスウィングさせ、実際にボールをショット。そのインパクト時に生じるクラブヘッドの動きを、比較対照します。

結果、センターヒット時に両者には大きな違いは見られませんでしたが、オフセンターヒット時(トゥ側)では、他社製品にはイオミック製品を大きく上回るグリップトルクが生じ、ヘッドが右へ開くことがわかりました。

こうして打ち出されたボールの軌道データを、弾道解析ソフトで分析。

自社開発した『グリップトルク測定器』による実験と計算では、イオミック製品のグリップトルクは8.9ydのプッシュアウトを生じさせる予想でしたが、やはり実際のスウィングを再現したこの実験では、ボールにサイドスピンが加わり、プッシュアウトの数値は17.3ydになることがわかりました。

しかし、他社製品のプッシュアウトは30ydにもなることが判明。

つまり両者の間には、予測していた距離の倍以上の差異が生じることになります。また、これらの差異はオフセンターヒット時に顕著になることもわかりました。

つまり、イオミック製品のグリップはオフセンターヒット時においても、トルクを最大限に抑え、安定した弾道を導き出すことが可能であると言えます。

ゴルファーがより正確で安定した弾道を求めるならば……グリップ選びはヘッドやシャフト並みに重要な要素であることが、ここに実証されました。

そして、その正確さに賭ける情熱は、
世界のプロに認められた。

グリップ

これまであまり注目されることのなかった、コンマ数mm以下のグリップトルクにこだわることで、生み出された数々のイオミック製品。

その信頼性はプロフェッショナルの世界にも浸透しており、2008年度のLPGAでは全プレーヤーの使用率50%、26勝の成績を収めることに寄与。また、JGTOではメジャー2勝を含む7勝に貢献し、両ツアーの賞金王・女王誕生を支えるなど、着実に確かな実績を育んでいます。

また、アメリカのPGAツアープレーヤーから、より太くサイズの大きいグリップを求められたことから、新製品「Sticky JUMBO E&C」を開発・発売しました。これはこれまでにない二重構造のグリップで、柔らかい表面と硬い内面を持っていることが特徴。グリップ時のフィーリングはそれまでのイオミック製品と同じでありながら、更にインパクト時のトルクを小さくした画期的な製品です。